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解説 八宗綱要(14)【自然智宗と秘密宗?】

なぜいま自然智宗と秘密宗なのか?

勤操律師と『天竺直説の観心の法』これに興味を持たぬ者はいない。先の勤操律師は良義僧都の推薦により、良円・良泰とも講義後に別室で会うことになっていたのである。だが、良泰がどこかに消えてしまったので、良範に伴われて良円のみ会うことが叶ったのである。

「・・しかし、おまえは何と言うか、間の悪いヤツだな。勤操様もおまえが来ないことを随分気にしておられたぞ」良円は勤操律師が良泰に興味を持っていることを早くも感じ取っていた。

「どうして、きちんと捜してくれなかったんですか」と良泰は逆切れの模様。

「・・次の機会もあるだろうし、それこそ『徳』次第だな。そんなことで後ろ髪を引かれちゃいかんぞ。我々坊主は、髪の毛がないのだから、引かれようがないのだからな。はははは」良範は相変わらずの洒落を言うが、二人ともニコリともしない。

「良範さん、どうして得度もしていないあなたが、あんな賓客の席にいて、さらには高級な僧衣など着くしているのですか?どういうわけなんですか?」

「そうです、良円さんの言うとおりですよ。わけを聞かせてください。良範さんは、この寺では落伍者の沙弥ということになっているじゃないですか。いいかげん隠さないで教えてくださいよ」

「うむ、そうだな」そう言って良範はめずらしく威儀を正す。
「・・・老師も言われていたが、いま我が国の仏教界は大変な激動期を迎えつつある。それは日々激しくなっているんだ」

「そのことに関連した話をわたしも聞いていますよ。アビダツマの学修を他寺で聴講する許可を得ているので、大徳方から親しく聞いています」

「おまえは学碩としての素質があるから学匠の大徳から可愛がられるだろうからな」

「良円さん、そうなんですか?奈良の都は混乱しているのですか?」良泰は子供だから何にも知らない。

「バカだなおまえは、帝も都も磐石だよ。新しい仏教の風が吹き出しているということだよ」

「まあ、良円そう人のことをバカと言いなさんな。知らなかったことも、知らないと認めて、学習すれば知ったことになろう。要は、知らないことを認めたあとの態度が肝心だろ」

「まあ、そうですが、はぐらかさないで先の一件についてどうなんですか」良円はなかなかしつこい男である。講義の時からそのことがずっと気になっていたのかもしれない。

「・・・実はな、おれは既に得度も果たしているのだ。ここでは落第生で通しているがな。これは老師からの要請なのだ。仏教界の変動、ここに関わるのはやはり人だ。その中でも、あの勤操律師という方は大きな役目を果たされると老師は思ったのだ。老師の先輩スジの方だということも幸いして、わしはあの一門に入って修道しているのだ」
思わぬ話に二人は息を呑む。

「・・・勤操律師の師匠のお一人が道慈さまであり、道慈さまの師匠が善無畏三蔵さまという天竺(インド)から来た秘密宗の人師だ。先の『観心の法』は此の法脈からきているんだ」

「おれはさる宗派の僧綱から『年分度者』に推されてな・・・。困ったことになったんだが、律師のお陰でなんとか大丈夫だった」

良円は、もう眼が回りそうだ。それはそうだ。良円がこの道に入ったのは単なる信仰ではなく、立身出世して貴族に復し、高軒寵過の家門を輝かせんが為だからだ。『年分度者』推薦はそれは夢だった。それをこの坊主は断ったと・・。

「どういうことですか!良範さん、今度という今度は容赦しませんよ。人をなめるものいいかげんにしてください。『年分度者』推薦を断ったって、これは他人事じゃない!」凄い剣幕だ。

「そりゃあ、他人事だろう。おまえの身内のことではないだろうよ」

「『年分度者』といえば親戚みたいなもんです」

「おいおい、勘弁してくれよ」

「で、良範さんどうして老師の要請でそこにゆくんですか?」良泰は助け舟をだす。

「唯識論に描かれている世界を実現するためだ。それこそがこれからの仏教の中心になるからだ。唯識学中心から実践篇へ移行しているのだ。そこにこの国と帝・重臣の希求があるのだ」

「・・・その鍵を勤操律師の系統の『自然智宗』が握るというんですか?」
良円はズバリ言ってのけた。

「そうだ。自然智を得る道、そして『秘密宗』こそが、次の時代の鍵を握るのだ」


※この物語は仏教的小説であります。『八宗綱要』を元にして、清涼殿に於ける帝の御前での仏教論議を通じて仏教の教理を理解していただく為に書き下ろしたものです。 

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